素敵と感じてもらうために、私が注目している装備のもう一つは・・・

APSG (電子制御スロットルYCC-Tの進化型)

よーするに電気仕掛けのアクセルです。

バイクだと以前から他社さんではすでに多数採用されていますし、4輪では随分昔から一般的に採用されている装備です。

ヤマハも以前からYCC-Tという名前で電子スロットルを採用してきましが、ここでちょっと復習しておきましょう。

昔からある普通のアクセルは、アクセルグリップとスロットルバルブが直接ワイヤーでつながっていてライダーがアナログ的に開け閉めします。

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ヤマハのYCC-Tとはアクセルグリップからはワイヤーが出ていますが、ワイヤーの行先はバルブではなくて「スロットルポジションセンサー」と呼ばれるボリュームみたいなスイッチです。
そのスイッチがグリップの動きを電気信号にかえてECUに送り、ECUからのデジタル信号でスロットルバルブを開け閉めする機構です。

なぜこんなにメンドクサイことをするかというと、ヤマハっぽく「ワイヤーならではのアナログ的で微妙なフィーリングを残しながらも、電子制御の利点は活用したい。」という目的があったからです。

※「電子制御スロットルの利点」につきましては、他サイト(H系)でたくさんUPされていますので、そちらでご確認ください。


ではワイヤーならではの微妙なフィーリングってなに? って感じですな。

いろいろ理由をつけるベテランライダーがいるかもしれませんが、要は「遊びの量と回す重さ」です。

ワイヤーを取回している以上、右にハンドルきった時と左ではワイヤーの遊びの量が変わります。
遊びの量が変わると回す重さがかわりますし、コーナーの手前ブレーキング中やコーナーのフルバンク中などのライダーのポジションが変わり、それによってグリップの握り具合や握る角度も変わり、結果としてグリップの回す重さも僅かに変わります。

ためしに整備の知識がある方は、アクセルワイヤーの遊び量を調整してみましょう。
遊び調整をすると、重さが変わることが実感できます。

この「量と重さ」を「フィーリング」と呼んでいるのです。

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なのに今回、ついにワイヤーがなくなりました。


初めてのると大抵違和感がありますが、6軸センサーによる車体制御を進化させて「より転ばないバイク。」に近づけるには必要不可欠な改善ですな。

アナログの感覚を数値化して車体制御するには、「1番最初の信号入力方法」を均一にしておかないといけません。
「1番最初の入力」とは「人間が右手首でアクセルグリップを回した量、回す速度。」ですが、これが遊びや重さ、ワイヤーの劣化や給油具合で変わってしまっては細かい制御は不可能です。

パソコンのキーボードで「A」を入力したとき、キーボードを押す力やスピードによって「A」の大きさやフォントが変わったら、それはそれで面白いですがやっぱり「A」を押したら普通の「A」が出てこないと困りますわ。


だからこそ今回のAPSG採用は必要だったのです。





イカン・・・。
思ったより長くなるわ・・・。
次回がいつあるかは不明ですが、次回に続く。


PRO-TEC名古屋北
柴田 典生