そういえば一つ、特徴的な進化を忘れてましたね。
セローならではの「正常進化」の代表、リヤタイヤのチューブレス化です。
4代目セローから、当時は驚きの中で採用されたチューブレスタイヤ。

今でもオフロード系でチューブレスタイヤ採用車は大幅なコストアップのために少数派ですので、1990年代に少排気量車で採用したのは超豪華装備ですな。
ただし今のビッグオフローダーに採用されているチューブレスタイヤとは、根本的に装着理由が違います。

セローのチューブレス化の理由はただ一つ
タイヤの空気圧を落とすためです。
タイヤは空気圧を落とせば落とすほどに、グリップ力が増します。
さらには本気で登るときに、トライアルタイヤを履くためです。

意外に知られておりませんが、トライアル車のリヤタイヤはチューブレスタイヤが多く採用されております。
それも本気の競技用タイヤになればなるほど、チューブレスとなるのです。

トライアル車がチューブレス化する理由は一つだけです。
トレッドパターンやコンパウンドにはチューブレス化にはあまり関係ありませんので、「タイヤの空気圧がトコトン落とせる。」事につきます。


大げさではありません。
セローが純正で履いているオフロードタイヤでも1.0kgf/cm2以下に落とせますが、トライアル車の空気圧は0.3~1.0kgf/cm2が標準範囲です。
プロライダーなら条件によっては0.0kgf/cm2まで落とします。
(パンクとは違います。くわしくは別の機会で。)

これがチューブ入りだと、岩などのヒットを考えると0.6kgf/cm2ぐらいまでしか落とせません。
またビートストッパーと呼ばれる、タイヤとリムが空転する事を防ぐ部品が必須となります。
これが現場の山の中でパンク修理するときには、ヒジョーに厄介なんですわ・・・。

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純正オフタイヤでも空気圧を落とすだけでかなりグリップは増し、普通の林道を登るには十分ですな。

しかし強者はさらに上を目指します。
そんなとき、トライアルタイヤのグリップは桁違いです。
経験したことのある方は少ないでしょうが、トライアルタイヤの0.3kgf/cm2は驚くほど岩の上でグリップするのです。

つまり、これまた「登るための正常進化」なのです。
(エンデューロタイヤ履きたい人は、また別の機会で。)

これは「セッティング」です。わざとです。
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初代セローの発案や開発は、ヤマハ社内のオフロードのプロ中のプロの方でした。
その方が「どんな道でも走れる登れる、本物のオフロードバイクを作りたい。」と、セローを作りました。

この4代目ぐらいの開発担当者は違います。
車体開発担当として抜擢されたのは、なんとオフロード経験ゼロのおじさんです。
理由は「どんな人でも走れる登れる、本物のオフロードバイクを作りたい。」と、ヤマハが思ったからです。

だからタイヤがグリップしないと進めないんです・・・下手くそだから。
超適任ですな・・・素直です・・・正直すぎ。

でもやっぱり変だわ。


PRO-TEC名古屋北
柴田 典生