昨日の話題、「何Km走れるかは、使用状況次第。」の続きですね。

昨日は「各条件が揃っている。」とUPしましたが、誤解を招く前にに一つだけ。
「各チーム、ECUマッピングの細かいセッティングは違う。」

基本は2015~2017のレース用ECUを使っていますが、「どう違うか?」は、他チームに教えてくれません。
当チームはレースECU2017用STDのママですが、他チームはイジッているかもしれませんので。
(2018用は? 純正ECUの書換や追加補正は? とかを語ると、大炎上するから・・・ナシ。)

IMG_3678


















こいつをベースに「使用状況差によるエンジンの寿命」の具体例を、他チームさんの状況も踏まえながら挙げていきましょう。

ここでいう使用状況の差とは、分かりやすく言うとラップタイム差です。
ラップが速いという事は、それだけアクセルを開けて加速している時間が長いという事です。
(最高速付近でのクルージングは、エンジンにとっては大した負荷ではありません。 )

そして寿命の基準は、総走行距離です。 (走行時間ではありません。)
また「寿命が来た。」とは、今回のR1の場合はクランクのコンロッドが交換必要になった距離を指します。
(要するに、R1は最初にチタンコンロッドが寿命を迎えます・・・。)


各チームは同じようなマシンで同じコースを走っているのに、ラップタイムが違うだけで寿命が大きく変わっていきます。

フルコースLAP 2分40秒~
FUN & RUNなどを楽しむクラスです。
恐らくバックストレート、5&6速で12,000rpmまで引っ張る事は無い走り方です。
このタイムなら、30,000km~は走行する事ができます。

LAP 2分30秒前後
サンデーのJSB1000ナショナルクラス、予選最低ラインぐらい。
レースに出るなら、とりあえずは出さなければいけないタイムです。
これぐらいなら、15,000kmは持ちますね。
ただ20,000Kmは恐らく無理です。

LAP 2分20秒前後
サンデーナショナルクラス、入賞が狙えるタイムです。
S字でしっかりラインに乗せ、ダンロップを駆け上がれる人達です。
この辺りから一気に寿命が縮みはじめ、10,000kmが怪しくなります。

LAP 2分17秒台
表彰台クラスですね。
水温だけではなく、油温にも気を付けなければいけなくなるタイムです。
純正オイルクーラーでも8,000kmは持つと思いますが、ドキドキです。
コンロッドキットは注文だけでもしておき、在庫しておくべきです。

LAP 2分15秒台
サンデーで優勝できます。
それでも上手いライダーなら、裏ストレートでレッドゾーン(14,000rpm)まで、ワザと回さずに出せるタイムです。
このレベルだとエンジンの耐久性まで頭に入れて、タコメーターを見ながらLAPタイムを調整できます。
それでも6,000kmぐらいまでしか持たないと言われます。

LAP 2分14秒を切る ← 松永選手
彼のエンジン、6,000kmは余裕で持つと思いますが、他チームさんは4,000kmでエンジンをオーバーホールするタイムクラスです。
例の難波さんにも、「そろそろオイル冷やした方が良いよ。」と言われています。

LAP 2分12秒台
一個上のインタークラスで入賞できるレベルですな。
難波さんからは、「12秒まではSTDのECUとサスでイケる!」と断言されていますので、当チームはSTDのママです。
しかし多くのチームさんはイジッていますね・・・。
おかげで?3,000km持たないチームさんもチラホラ・・・。
2,500kmでオーバーホールでは、コンロッドの前に金がモタンわ


※ ちまたで、「R1は4,000km持たない。」といわれているのは、ECUをイジッていたり、純正以外のオイルを使用しているからです。
1年以上も3台体制で鈴鹿を走らせている当チームが、1台もコンロッドを折っていないのは確かです。


番外編
当店で一般公道を走っている現行YZF-R1で、もっとも距離を走っているお客様は52,000kmほどです。
ほぼ毎週、ワインディングに週末朝練を走りに行く方ですが、エンジンは絶好調でオーバーホールの必要はまったくありません。(2015年モデル)
この夏、鈴鹿に持ち込んでメーター読み280km/hを余裕で超えたしね。

IMG_3675


















そしてライダーの技量でも、大きく変わります。
2分10秒で走れるライダーが、使用回転数を落として2分20秒で走る事はとっても簡単です。
そうすれば寿命の距離は10,000kmどころではなく、飛躍的に伸びるハズです。

うちの松永さんも、ストレートではタコメーターとにらめっこしながら、コーナー脱出時もアクセル無茶開けせずに走っています。
そのために恐らくは10,000kmでも持つと思います。
(実際にはその他の理由で、5,000kmぐらいではエンジン開けるけどね。)

こんな感じで同じエンジンでも、50,000km超えから2,500kmまで、使用状況の差で寿命は大きく変わります。

だからこそブログ1日目の、「寿命は分かりません。」となるのです。

IMG_3684


















長い長いブログ、三日間もお付き合いありがとうございました。

明日の15日からは、通常商売モードに入らなきゃ
コンロッドより、先に売上目標のグラフが折れそうだわ



PRO-TEC名古屋北 柴田 典生の提供でした。