今回もやってまいりました。 3連休用の記事、能書きシリーズです。
最初は燃調についての能書きを垂れようかと考えましたが、確実にどっかで他店のジャマをして大炎上しそうな話になりそうなので、止めておくことにしました。
今回も正解があって無いようなお話
その能書きは、「エンジンの寿命って?」です。
ヤマハの黒歴史エンジンです
お客様から良く聞かれます、「エンジンの寿命っていつ?」と。
「申し訳ございませんが、分かりません。」
我々プロは、プロだからこそ答えられません。
基本として決まりはなく、オーナーさん自身が決めるモノです。
決めるのは私達ではありません。
仮に新車で完璧な状態のエンジンの性能が、100馬力のバイクがあったとします。
これが走行距離が伸びて各消耗が進み、98馬力となった時に「寿命」と捉えるオーナーさんも居ると思います。
そしてまだまだ消耗が進み、90馬力になっても「まだまだ普通に走れる。」というオーナーさんも、たくさんいます。
さらにはピストンが減り圧縮ができずに、50馬力どころか走る事ができなくなっても、「ピストンを新品にさえ変えれば、まだまだ余裕で走れる。」というオーナーさんもいます。
そしてレストア好きから見れば、「ヤフオクで中古エンジン買えば、いくらでも・・・。」と、キリがありません。
要はオーナーさん自身が、手間や金銭的な部分で、
「このバイクに、これ以上は維持費用や手間を掛ける気がなくなった。」
と思った時が寿命です。
もっと端的に言えば、新しいバイクが欲しくなった時が寿命ですわ。
※ ちなみに事故や大きな故障、他の理由で泣く泣く手放すときは寿命とは言いません。
私は長年バイク屋をやっていますが、一番「寿命」の件で驚いたのはVMAX1700のエンジンです。
あるお客様のVMAX1700、2009年式の国内モデルの話です。
いわゆる新型VMAXの初期ロット車ですね。
このVMAX1700、現在走行距離が15万キロを余裕で超えております・・・。
15万キロに至るまで、クーラント漏れなど補機類のマイナートラブルはありましたが、エンジン本体のシリンダーヘッドやピストン、クランクケースを開けるようなトラブルや部品交換は一回もありません。
ピストンもバルブも、ピストンリングも新車組立時の部品のままです。・・・。
この距離になるまでにやった事は、基本は法定定期点検とメーカー指定消耗部品交換のみ
バルブクリアランスも取っていませんし、エンジンオイル、その他オイル、全部純正のママ
さらにこのお客様、決してエンジンをひたすら労わって走っている訳でもありません。
マフラーやECUは輸出仕様のフルパワーに交換してありますし、年間走行距離もすごいです。
さらにさらに趣味で年に数回、このVMAXでツーリング途中にドラッグレースに参戦するぐらいですから
(仙台で行われる、正式な本気のドラッグレースです。)
で、以前に12万キロを超えた時に出した公式タイムが11秒台前半・・・。
オーナーの腕もスゴイが、マシンもスゴイ
現在も始動性抜群 異音無し オイル漏れ無し
このエンジン、ある意味異常です。 丈夫過ぎ
そしてそれを維持しているオーナー様も、素晴らし過ぎ
普通に購入できるバイクで一般的な使用方法やメンテナンスでパワーの維持ができ、実際に耐久性が立証(今も進行形です。)されている以上、ひとつの頂点でしょうな。
ちなみに、「パワーが明らかに落ちているが、まだ普通には走れる。」という状態もアリならば、私の知っている範囲でオーバーホール無しでの最高は、FJR1300の27万Kmです・・・。
しかし間違えて欲しくないのは、正しく乗って正しくメンテナンスをし、大事にされて迎える「寿命」と、
ロクにメンテナンスせずに「壊したから、買い替える。」のは、まったく違う話ですのでお間違え無く
明日は、「全部が全部、10万キロ走れる訳じゃねぇ。」の、お話です。
PRO-TEC名古屋北
柴田 典生
プロフィール
YSP名古屋北の人
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愛知県西春日井郡豊山町という名古屋市北区のちょい上、小牧市のちょい下でヤマハのバイク屋さんを営業中です。国道41号線沿いで名古屋空港の近くです。 原付スクーターから輸入車まで、通勤用バイクからレース用まで、なんでもお任せください。 とりあえずテキトーに遊びにきてください。
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