ようやく終わったbremboさんの商品紹介 

ただ問題は、値段の安いキャリパーと高いキャリパーは何が違うのか?の点です。

ブレーキシステム全体の内、キャリパー単体の役目はなんでしょうか?

役目は一つ、ブレーキパッドの性能を、どんな状況でも100%発揮させる事。」

脇役なんです。 あくまでも主役はブレーキパッドなんです。
キャリパー単体では中々違いが分かりませんが、価格の差は主に剛性と精度の差です。

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その昔、ロッシさんがヤマハに移籍した2005年ごろの話です。
当時のヤマハは、マシンとしてはホンダさんに遅れを取っていました。
(誰が何と言おうと、チャンピオンが取れていない以上は遅れていたのです。)

ロッシさんがヤマハに移籍し、様々なテストが始まり改善が進みます。
彼のセッティング&開発能力は凄まじく、正に「ザ・ドクター」と言われるモノでした。

彼のテスト走行中、「中速コーナーで、タイヤ一本分インに入れられない。何とかしたい。」との注文が出たらしいです。
日本のヤマハ開発ライダーからはそんな意見は出ていませんでしたが、開発陣は創意工夫、全力で改善に励みますがロッシさんの満足には至りません・・・。

そこでロッシさんから案がでました。
「ブレーキキャリパーの取付ボルトの強度を上げて欲しい。」

意味が分かりません・・・。
ボルトの強度を上げると、タイヤ1本分インに入る理屈が分かりません。

がしかし、実際に改善されたのです。タイムが短縮されたのです。

ブレーキ回りやフロント回り一式全体の剛性が、重要である事が思い知らされた一件です。
他のライダーや開発ライダーが、マネや体感できないレベルでバイクを曲げている人にしかできないアドバイスです。

当時は記者達から、「どこのメーカーがチャンピオンを取るのかを予想するのは意味がない。ロッシが走るメーカーがチャンピオンを取るのだ。」と言われたのは、ダテではない逸話ですな。
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一昔前に良く効く、スゴイブレーキは、とにかくブレーキディスクは直径を大きくし、そのディスクに接するパッドの表面積を広くしたいという発想で作られていました。
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パッドの摩擦面の表面積を稼ぐために、キャリパーを6POTや8POTピストンにしたりして、とにかく長く巨大可していきました。
そして巨大化して重くなったキャリパーは、このブログで昔紹介した「バネ下重量」に悪影響を及ぼしました。
バネ下重量への影響を減らすために、キャリパーを本体をピストンが入るギリギリまで小さく薄くし、さらに内外のボディーや取付ステー部分までも肉抜き加工までして軽量化に努めた結果、キャリパー本体の剛性が著しく落ちてしまいました。

結果としてブレーキを握った瞬間は、「すごい効く」という感覚になり、実際に制動力だけは強くなりましたが、肝心のマシン全体のコントロール性能は落ち、目的の「安全に不安なくスピードを落とす。」事にはなりませんでした。
目的と手段を勘違いした、典型的は事例かもね。
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今回のレーシングキャリパー、モノブロックだけあって、とてつもなくゴツイです。
キャリパーデータだけ見ると普通のキャリパーより軽く記載されていますが、それはチタンピストンのおかげです。
ピストンを外し、キャリパー単体だけで計測すると十分重いのです。
(対bremboです。純正よりは軽いですよ。)

しかしそのピストンと、ピストンがハマる部分の内側精度もとても高く、外観のゴツさとは違って美しい仕上がりです。

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余談と確認です。
昔6POTが流行っていて、国内外のブレーキメーカーがこぞって6POTを発売しました。

しかしbremboは6POTのテストはしましたが、一般発売はしませんでした。
レースの現場でも、トップライダーの実戦に使用された事はありません。

全て分かっていたのか? それとも偶然か? 

ただしこの多数POTの話はバイク限定の話です。
4輪車はキャリパーの固定方法や発熱量が桁違いですので、違うお話となります。
くわしくは4輪を「本気で走らせている人。」に聞いてください。

いよいよ明日は最終章、「握ったら握った分だけ効くって言うけど、そんなの全部一緒じゃん。」編です。

PRO-TEC名古屋北
柴田 典生